Column
コラム
近年、SDGsやESG経営への関心の高まりとともに、ビジネスのあらゆる側面で「環境配慮」が強く求められるようになりました。これは印刷業界においても例外ではなく、ただ美しい印刷物を提供するだけでなく、その制作過程や素材、そして最終的な廃棄に至るまで、環境への負荷をいかに低減するかが企業の重要な責任となっています。特に、官公庁や大企業との取引においては、環境省が定めるグリーン購入法をはじめとする国の指針や、地方公共団体の環境率先行動計画への対応が不可欠です。本記事では、この「環境印刷」について、国の公式な指針から、FSC®認証紙や植物油インキといった具体的な資材、さらには信頼性の高い環境マークの活用方法までを網羅的に解説します。
目次
1.なぜ今、印刷物に「環境配慮」が求められるのか
現代社会において、企業活動における環境配慮は単なる社会貢献活動ではなく、企業の信頼性や競争力を左右する重要な経営課題として認識されています。SDGs(持続可能な開発目標)やESG経営(環境・社会・ガバナンスを考慮した経営)といった世界的な潮流の中で、消費者、取引先、そして社会全体からの環境意識はかつてないほど高まっています。この動きは、広告、パンフレット、パッケージといった印刷物にも例外なく波及しており、印刷物の企画・制作においても環境への配慮が強く求められるようになりました。
特に、官公庁や大企業では、調達基準に環境配慮の項目を設けるケースが増えており、環境に配慮していない印刷物は選ばれにくくなっています。これは、環境配慮がコストとしてのみ捉えられる時代から、企業のサプライチェーン全体におけるリスクマネジメント、そして新たなビジネス機会創出の源泉へと変化していることを意味します。この変化に対応し、印刷物に環境配慮を取り入れることは、企業の社会的責任を果たすだけでなく、持続可能なビジネス成長を実現するための不可欠な要素となっています。
弊社でも環境に対して貢献していることが幾つかありますので詳細は下記ページをご覧ください。
https://www.yamaguchi-s-p.com/sdgs.html
2.環境印刷とは?定義と全体像
環境印刷とは、単に再生紙を使用するといった部分的な取り組みに留まらず、印刷物が生まれてから廃棄されるまでのライフサイクル全体で環境負荷の低減を目指す総合的なアプローチを指します。具体的には、「資材調達(紙・インキ)」「印刷工程」「廃棄・リサイクル」という三つの段階において、それぞれ環境への影響を最小限に抑えることを目指します。
この考え方は、ライフサイクルアセスメント(LCA)と呼ばれる、製品やサービスの全ライフサイクルにおける環境負荷を定量的に評価する手法に基づいています。印刷物におけるLCAの視点では、原材料となる紙の製造過程での森林資源の消費や水の使用量、インキの成分が環境に与える影響、印刷機稼働時の電力消費やVOC(揮発性有機化合物)排出量、そして最終的な印刷物のリサイクル性まで、多角的に環境負荷を考慮します。この包括的な視点を持つことで、再生紙利用だけでなく、インキの種類、印刷機の選定、さらには印刷物の設計段階からリサイクルまでを見据えた、真の意味での環境配慮が可能になります。
3.環境に配慮した「紙」の選び方
環境印刷を進める上で、最もイメージしやすく、また実際に環境負荷を大きく左右するのが「紙」の選択です。単に「エコな紙」と一口に言っても、その種類は多岐にわたり、それぞれ異なる環境的価値を持っています。森林資源の保全、古紙の有効活用、そして新たな素材の開発といった様々な視点から、どのような紙が環境配慮型として選ばれているのかを理解することは、顧客への具体的な提案を行う上で非常に重要です。
このセクションでは、FSC®森林認証紙や再生紙、さらに非木材紙といった具体的な選択肢について詳しく解説していきます。それぞれの紙が持つ環境上のメリットや特性を把握し、印刷物の用途や顧客の要望、予算に合わせて最適な紙を選び、自信を持って提案できるようになりましょう。
3-1.FSC®森林認証紙|持続可能な森林活用
FSC®森林認証紙とは、FSC®(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)によって認証された「適切に管理された森林」から生産された木材を原料とする紙のことです。この「適切に管理された森林」という言葉には、単に木を伐採するだけでなく、環境保全、地域社会の利益、そして森林で働く人々の権利に配慮しながら、持続可能な方法で森林を管理しているという厳しい基準が含まれています。
FSC®認証紙を選ぶことは、森林破壊や違法伐採に加担することなく、世界の森林資源を保護し、生物多様性を守ることに貢献します。また、地域住民の生活や労働者の安全にも配慮しているため、リサイクルとは異なる「森を守り育てる」という観点からの環境貢献を顧客に伝えることができます。特に、企業のCSR活動やSDGsへの取り組みをアピールしたい場合、FSC®森林認証紙の使用は強力なストーリーテリングの材料となり、企業の信頼性向上に繋がります。
3-2.再生紙|古紙パルプの配合率がカギ
再生紙は、一度使用された紙(古紙)を回収し、それを原料として再び紙に加工したものです。森林資源の節約、廃棄物の削減、そして製造過程におけるエネルギー消費や水使用量の削減に貢献するため、環境配慮型として広く認知されています。再生紙を選ぶ上で特に重要なのは、「古紙パルプ配合率」です。この配合率が高いほど、古紙の利用率が高く、より環境負荷が低いと評価されます。
日本のグリーン購入法においても、再生紙の利用が推奨されており、印刷物では古紙パルプ配合率が一定の基準を満たすことが求められています。再生紙には、その配合率を示す「Rマーク」が表示されることがあり、このマークは環境配慮を「見える化」するための有効な手段となります。ただし、再生紙はバージンパルプを使用した紙に比べて白色度が低かったり、繊維が短いため若干の風合いの違いが生じることがあります。これらの特性を理解し、顧客の求める品質とコストのバランスを考慮した上で、最適な配合率の再生紙を提案することが大切です。
3-3.非木材紙・その他環境配慮紙
FSC®森林認証紙や再生紙以外にも、多様な環境配慮型の紙が存在します。その一つが「非木材紙」で、木材以外の植物繊維(例えば、バガス(サトウキビの搾りかす)や竹、ケナフなど)を原料としています。これらの非木材紙は、森林資源の保護に直接貢献するだけでなく、農産廃棄物の有効活用やCO2排出量の削減といったメリットも持ち合わせています。
また近年では、石灰石を主原料とする「LIMEX(ライメックス)」のような新素材も登場しています。LIMEXは、紙やプラスチックの代替となり、製造時に水や木材パルプをほとんど使用しないため、水資源の節約や森林保護に貢献します。さらに、耐久性や耐水性に優れているという特性もあります。これらの非木材紙や新素材は、まだコストが高めであったり、特定の印刷機での対応が必要な場合もありますが、提案の幅を広げ、先進的な環境配慮への取り組みをアピールする選択肢として非常に有効です。各素材の特性を理解し、用途に応じた最適な提案を心がけましょう。
4.環境負荷の少ない「インキ」の選び方
環境印刷を考える上で、「紙」の次に重要な要素が「インキ」です。従来の石油を主原料としたインキは、製造過程で揮発性有機化合物(VOC)を排出し、また化石資源に依存するという環境課題を抱えていました。しかし、近年ではこれらの課題を解決するための環境配慮型インキが開発され、普及が進んでいます。
環境配慮型インキを選択することは、印刷物のライフサイクル全体で環境負荷を低減し、企業のサステナビリティへの取り組みをアピールする重要な手段となります。ここでは、具体的な環境配慮型インキの種類とその特徴について詳しく解説していきます。
4-1.植物油インキ(ベジタブルオイルインキ)

植物油インキは、大豆油、亜麻仁油、桐油などの植物由来の油を主成分として製造されたインキです。従来の石油系溶剤インキと比較して、製造過程や印刷工程で排出される揮発性有機化合物(VOC)を大幅に抑制できる点が最大のメリットです。これにより、大気汚染の原因となるVOCの排出量を削減し、作業環境の改善にも貢献します。
また、植物油は生分解性を持つため、使用済み印刷物のリサイクル適性が向上するという利点もあります。紙からインキを分離しやすいため、古紙の再生利用プロセスにおいて、より高品質なパルプを回収しやすくなります。植物油インキを使用した印刷物には、「植物油インキマーク」を表示することができ、これは環境配慮を対外的にアピールする強力なツールとなります。
4-2.ノンVOCインキ・UVインキ

植物油インキに加えて、さらに環境負荷の低いインキとして「ノンVOCインキ」と「UVインキ」があります。ノンVOCインキは、文字通り揮発性有機化合物(VOC)の排出を限りなくゼロに近づけたインキであり、大気汚染物質の排出抑制において非常に高い効果を発揮します。
UVインキは、紫外線を照射することで瞬時に硬化する特性を持つインキです。この硬化プロセスにおいてVOCを一切排出せず、また熱による乾燥工程が不要なため、消費電力の大幅な削減(省エネルギー)にもつながります。特にLED-UV印刷機などの省エネ型UV印刷システムは、従来のUVランプに比べて長寿命で低消費電力であり、印刷工場全体のCO2排出量削減に大きく貢献します。これらのインキは、環境性能と同時に、短納期や高光沢といった印刷物の品質向上にも寄与するため、幅広い用途での活用が進んでいます。
弊社保有のハイデルベルグ カーボンニュートラルオフセット機は省エネ型では無いですが設備自体が環境に配慮された部材を使用した設備となっています。
5.環境負荷を低減する「印刷工程」
環境印刷を考える際、使用する紙やインキといった資材だけでなく、実際に印刷物を作り出す工程そのものが環境に与える影響も重要な要素となります。印刷工場では、湿し水の使用や電力消費、廃棄物の発生など、さまざまな側面で環境負荷が生じています。これらの課題を認識し、最新の技術や取り組みを通じて改善していくことが、企業の真の環境配慮姿勢を示す上で不可欠です。目には見えにくい部分だからこそ、丁寧な配慮が求められます。
5-1.省エネルギーな印刷設備の導入
印刷工場全体でのCO2排出量削減に貢献するためには、省エネルギーな印刷設備の導入が欠かせません。例えば、紫外線を照射して瞬時にインキを硬化させるUV印刷機の中でも、特にLED-UV印刷機は乾燥工程での電力消費を大幅に削減できるため、環境負荷の低減に貢献します。また、最新のデジタル印刷機は、小ロット印刷における刷版作成が不要であることや、生産効率の向上による稼働時間の短縮などにより、全体のエネルギー消費を抑えることが可能です。工場全体として、ISO14001などの環境マネジメントシステムを導入し、継続的にエネルギー効率の改善に取り組む姿勢が、環境配慮型企業として高い評価を得ることに繋がります。
6.「廃棄・リサイクル」まで考慮した設計

環境印刷は、印刷物が使用される前段階や使用中のことだけでなく、製品のライフサイクル全体を考えることが大切です。特に、製品の最終段階である「廃棄」や「リサイクル」を見据えた設計は、環境負荷を大きく低減するために欠かせません。
印刷物が使用された後、スムーズにリサイクルできるかどうかは、実は設計の段階で決まってしまいます。例えば、ポスターや冊子に施される表面加工(特定のラミネート加工やPP加工など)や、接着剤の種類、綴じ込みに使われる金属製の金具などが、リサイクルを困難にする原因となることがあります。これらの素材が紙と分離しにくいため、リサイクル工場で異物として扱われ、結果的に廃棄されてしまうケースも少なくありません。
したがって、環境印刷を検討する際には、リサイクル工程を阻害しない素材を選び、できる限り分別しやすい設計を心がける必要があります。例えば、リサイクル適性の高い水性ニス加工を選んだり、金属金具ではなく紙や糊で綴じる方法を検討したりすることが挙げられます。このような配慮は、「リサイクル適性マーク」の考え方にも繋がり、製品が適切にリサイクルされるための重要なステップとなります。
7.顧客への信頼の証となる「環境マーク」を使いこなす

これまで解説した多様な環境配慮の取り組みは、その内容を顧客に正確に伝え、信頼を獲得することで、初めてその価値を最大限に発揮します。そこで重要な役割を果たすのが「環境マーク」です。環境マークは、製品やサービスが特定の環境基準を満たしていることを第三者が認証し、消費者に分かりやすく示すためのツールです。印刷物の環境配慮をアピールする上で、これらのマークを適切に活用することは、企業の環境姿勢を客観的に証明し、提案の説得力を大きく高める強力な武器となります。
環境マークには多種多様なものがあり、それぞれが異なる側面での環境貢献を示しています。そのため、どのマークが何を意味するのかを正確に理解し、顧客の関心やニーズに合わせて提示することが重要です。このセクションでは、マークを「資材(紙・インキ)」「工程(工場全体)」「リサイクル」というカテゴリに分類し、それぞれのマークが示す環境価値や取得基準について詳しく解説していきます。これにより、提案時の混乱を防ぎ、信頼性の高い情報提供ができるようになります。
環境マークの活用は、単に法令遵守やコスト削減といった視点だけでなく、企業のESG経営(環境・社会・ガバナンスを考慮した経営)やSDGsへの取り組みを具体的に示すブランディングツールとしても機能します。特に環境意識の高い顧客層へのアピールには非常に効果的です。環境マークを戦略的に使いこなすことで、顧客の信頼を勝ち取り、持続可能な社会への貢献とビジネスチャンスの拡大を両立させることができます。
7-1.紙・資源に関するマーク
印刷物の主原料である「紙」は、環境印刷において最も注目される要素の一つです。紙やその原料となる資源に関連する環境マークは、持続可能な森林管理や資源の有効活用、リサイクルへの貢献を具体的に示します。これらのマークを印刷物に表示することで、使用する紙がどのように環境に配慮されているかを一目で顧客に伝えることができます。
代表的なマークとしては、適切に管理された森林から生産された木材を使用した製品であることを証明する「FSC®森林認証マーク」が挙げられます。これは、森林の環境保全、地域社会の利益、労働者の権利に配慮した森林管理が行われていることを示しており、責任ある木材調達の証となります。また、古紙パルプを一定割合以上使用していることを示す「再生紙使用(R)マーク」は、資源のリサイクルと省資源への貢献を明確に伝えます。このマークは、古紙パルプの配合率によってR100、R70、R50などの種類があり、グリーン購入法の判断基準とも関連が深いため、官公庁案件などで特に重要です。
さらに、木材以外の植物繊維(バガス、竹など)を原料とした紙であることを示す「非木材紙マーク」もあります。これは、森林資源への負荷を軽減し、新たな資源活用を促す取り組みを象徴するものです。これらのマークを適切に提示することで、顧客は製品の環境価値を容易に認識し、環境意識の高い企業としての姿勢を強く印象づけることができます。
7-2.インキに関するマーク
紙だけでなく、印刷物を彩る「インキ」も環境負荷を大きく左右する要素です。インキに関する環境マークは、目に見えにくい部分での環境配慮、特にVOC(揮発性有機化合物)の排出抑制や再生可能な資源の利用といった点を示します。これらのマークを提示することで、印刷物の製造プロセス全体に対する企業の環境意識の高さをアピールできます。
最も広く知られているのが本記事4-1に記載しました「ベジタブルインキマーク」です。これは、大豆油、亜麻仁油、桐油、パーム油など、再生可能な植物由来の油をインキの主成分として使用していることを示すマークです。植物油インキは、従来の石油系溶剤インキに比べてVOCの発生が少なく、生分解性が高いため、大気汚染の低減やリサイクル適性の向上に貢献します。このマークは、インキの種類だけでなく、使用比率についても一定の基準を満たすことで表示が許可されます。
また、「水なし印刷」に関連する「バタフライロゴマーク」もインキと密接に関連しています。水なし印刷は、従来の湿し水を使わないオフセット印刷技術であり、湿し水に含まれる有害物質の排出をなくし、VOCの発生も大幅に抑制します。このマークは、インキそのものではなく、インキの使用方法を含む印刷工程全体の環境配慮を示すものですが、特に環境負荷の低いインキと組み合わせて使用されることが多いため、インキに関する配慮と合わせて提示されることがあります。
7-3.印刷工程・工場全体に関するマーク(GPマークなど)

印刷物の環境配慮は、個別の資材選びだけでなく、印刷を行う工場全体の環境マネジメント体制や製造工程における負荷低減の取り組みによって大きく左右されます。工場全体に関する環境マークは、企業の包括的な環境姿勢と継続的な改善努力を客観的に証明するものであり、発注者が信頼できる印刷会社を選ぶ上で非常に重要な指標となります。
その代表格が「グリーンプリンティング(GP)マーク」です。GPマークは、日本印刷産業連合会が認定する制度で、資材調達から製造工程、廃棄物処理に至るまで、印刷全工程における環境負荷低減に取り組む工場に与えられます。具体的には、グリーン購入法の判断基準を満たす資材の優先使用、VOC排出量の削減、廃棄物の適正処理とリサイクル、省エネルギー設備の導入、環境マネジメント体制の構築など、多岐にわたる厳しい基準をクリアする必要があります。 GPマークは、単に「環境に配慮しています」という漠然とした主張ではなく、「特定の基準に基づいて、工場全体で環境負荷を低減する努力を継続的に行っている」という信頼性の高いメッセージを顧客に伝えます。このマークを取得している印刷会社を選ぶことは、発注者にとって最も確実な環境配慮の選択肢の一つとなり、環境意識の高い企業や官公庁からの案件獲得において、大きなアドバンテージとなります。また、ISO14001などの国際的な環境マネジメントシステム認証も、工場全体の環境配慮を示す重要な指標です。
8.【事例】ノベルティや販促物での環境配慮
ポスター、カレンダー、クリアファイル、パンフレットといった販促物やノベルティグッズにおいても、環境配慮は多様な形で実現できます。例えばクリアファイルの素材には、従来のプラスチックに代わる選択肢として、紙製のものや、石灰石を主原料とするLIMEX(ライメックス)、再生100%PP、さらには植物由来のポリ乳酸などが登場しています。
展示会パネルでは、軽量でリサイクルしやすい紙製ボード「リボード」や完全紙製パネルを用いることで、イベント全体の環境負荷を低減しつつ、複数回の再利用を可能にします。また、ノベルティ自体も、フェアトレードコットン製品、エコマーク認証製品、再生プラスチック製品、バンブーファイバーやライスレジンといったバイオマスプラスチック製品を選ぶことで、環境意識の高い消費者層へ強くアピールし、企業の環境貢献度を多角的に示すことができます。これらの取り組みは、「プラスチック・スマート」マークの活用などにより、海洋プラスチックごみ問題への貢献といった具体的なメッセージと結びつけることも可能です。

9.環境印刷を導入するメリットと注意点
環境印刷の導入は、単なるコストではなく、企業にとって大きなメリットをもたらす投資です。しかし、同時に考慮すべき注意点も存在します。ここでは、環境印刷を導入することで得られる具体的な利点と、現実的な課題への対処法を客観的に解説します。
このセクションを読むことで、お客様への提案や社内での導入検討において、メリットを最大限に活かし、注意点を適切に管理するための心構えと具体的なヒントを得られます。環境配慮を企業の持続可能な成長と競争力強化に繋げるための、実践的な情報を提供いたします。
9-1.メリット:企業価値の向上と新たな受注機会
環境印刷の導入は、企業の多角的な価値向上に直結します。第一に、近年重要視されるESG(環境・社会・ガバナンス)評価の向上に貢献します。これは投資家からの評価を高め、資金調達を有利にするだけでなく、企業の社会的責任を果たす姿勢として、ステークホルダーからの信頼を獲得することにも繋がります。
第二に、官公庁や大手企業からの受注機会を大きく増やすことが可能です。特に、グリーン購入法に代表されるように、国や地方自治体は環境に配慮した製品・サービスの調達を義務付けています。環境配慮印刷に対応することで、これらの入札案件に参加できるようになり、新たなビジネスチャンスを創出できます。環境意識の高い大手企業も同様に、サプライチェーン全体での環境負荷低減を重視しており、取引先選定の重要な要素となります。
さらに、従業員の士気向上やプライドの醸成にも貢献します。自社が社会貢献性の高い事業に取り組んでいるという意識は、従業員のモチベーションを高め、企業への帰属意識を強めます。これは優秀な人材の確保や定着にも良い影響をもたらすでしょう。また、環境意識の高い消費者層へのブランドイメージ向上にも繋がり、企業のポジショニングを確立する上で強力な武器となります。これらのメリットは、環境印刷が単なるコストではなく、長期的な視点での投資対効果の高い戦略であることを示しています。
9-2.注意点:コストと品質のバランスの取り方
環境印刷を導入する上で避けて通れないのが、コストと品質に関する課題です。確かに、環境配慮型の資材やプロセスは、従来の資材と比較して割高になるケースがあるのは事実です。例えば、FSC®森林認証紙や再生紙は、バージンパルプ紙と比較して単価が高くなることがあります。また、再生紙の場合、若干の白色度の違いや質感の差が生じる可能性も考慮する必要があります。
こうした課題に対し、効果的な対策を講じることで、コストと品質のバランスを取りながら環境配慮を推進できます。まず、最も重要なのは、顧客に対して環境価値を丁寧に説明し、その価値を価格に転嫁することです。単に「価格が高い」と伝えるのではなく、どのような環境メリットがあるのか、マークによる信頼性の担保、企業のブランドイメージ向上への貢献など、具体的な付加価値を提示することで、顧客の理解と納得を得やすくなります。
次に、予算に応じて環境配慮のレベルを調整する柔軟な提案も有効です。例えば、すべての印刷物を最高レベルの環境配慮仕様にするのが難しい場合でも、まずは植物油インキへの切り替えから始める、一部のページにFSC®認証紙を使用するなど、段階的に導入を進めることができます。お客様のニーズと予算に合わせた最適なプランを提示することで、無理なく環境配慮を継続していくことが可能です。
最後に、安定した品質と適正な価格で環境配慮型資材や印刷サービスを提供できる信頼できるパートナー(印刷会社)を選ぶことが非常に重要です。環境認証の取得状況、過去の実績、品質管理体制などをしっかりと確認し、長期的な視点で協力関係を築ける企業を選定することで、導入後のトラブルを未然に防ぎ、安心して環境印刷を進めることができるでしょう。
10.まとめ:環境印刷で持続可能な社会に貢献する
この記事では、環境印刷が単なるコストや規制対応ではなく、企業の信頼性を高め、新たなビジネスチャンスを創出し、ひいては持続可能な社会の実現に貢献する価値ある取り組みであることをお伝えしてきました。
環境印刷を実践するには、紙やインキといった資材の選択から、印刷工程、そして最終的な廃棄・リサイクルまで、製品のライフサイクル全体を見渡す視点が不可欠です。FSC®認証紙や植物油インキ、水なし印刷といった具体的な手法はもちろんのこと、信頼性を示す環境マークを適切に活用することで、貴社の環境に対する真摯な姿勢を顧客に明確に伝えることができます。
もちろん、環境配慮型の選択肢は、時に従来の資材よりもコストがかかったり、品質面で考慮が必要な場合もあります。しかし、そこを乗り越えるためには、顧客に対して環境価値を丁寧に説明し、予算に応じて最適なレベルの配慮を提案する姿勢が重要です。信頼できる印刷パートナーと連携し、コストと品質のバランスをとりながら、着実に環境印刷を進めていきましょう。貴社の提案が、顧客企業の環境価値向上にもつながり、共に持続可能な社会を築く一歩となるはずです。
※本記事で紹介しております内容は一般的な解説であり、弊社のサービス範囲とは異なるものも含めておりますのでご容赦ください。
※このコラムは一部にAI技術を活用しております。